加賀友禅

着物地、小物、帯

加賀友禅とは

加賀友禅の特色は、まず写実的な草花模様を中心とした絵画調にあります。落ち着きと優しさが美しく表現され、武家風の趣がよくわかります。色彩は、「加賀五彩」である藍、臙脂(えんじ)、黄土、草、古代紫の5色で、加賀友禅の基調になっているといわれます。技法は線の太さやぼかし、葉の虫喰いなどの表現でアクセントを付け、特にぼかしは花びらの外側が濃く、中心に向かって淡く染める「先ぼかし」が特徴といえます。加賀友禅は最後まで染だけで仕上げられ、刺繍や金銀箔などによる加飾をほとんどしない「染の味」「染の心」が生かされています。

産地:石川県金沢市

金沢市は本州のほぼ中心に位置し、明治22年(1889年)の市制施行以来、近隣町村との度重なる編入・合併によって市域を拡大し、平成8年(1996年)には中核市に移行しました。清らかな犀川や浅野川の他、わき水も多く、水が豊かな町であり、「用水のまち」としても有名です。 日本海側気候で、「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるくらい雨の多い地域です。春や夏は好天の日が多い反面、冬は曇りや雨の日が多く、積雪もあります。雪化粧した兼六園や長町武家屋敷跡などの風情は、金沢ならではのものです。また、高い湿度は伝統工芸である漆塗りや金箔製造、加賀友禅染に適しています。

加賀友禅を利用した記念品を
是非ご検討ください。

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加賀友禅の歴史

加賀友禅の起源はおよそ500年前、加賀の国の染め技法であった「梅染」にさかのぼります。 17世紀の中頃には、いわゆる加賀御国染と呼ばれる兼房染や色絵、色絵紋の技法が確立されました。なかでも色絵紋の繊細な技法は加賀友禅の原点になったとも言われています。

これらの染め技法がほぼ確立した後、加賀友禅の始祖、その名の由縁となる宮崎友禅斎の登場により、加賀友禅は大きな発展期を迎えます。友禅斎は江戸中期に京都から金沢の御用紺屋棟取・太郎田屋に身を寄せ、御国染の意匠の改善や友禅糊の完成など輝かしい加賀友禅の基礎をうちたてました。また当時の人々の心をその斬新なデザインで魅了するなど、輝かしい加賀友禅の発展にも寄与しました。一方、18世紀の末、金沢で板場友禅(型友禅)が起こり、袴や羽織に繊細な小紋が染められていました。

1975年には国指定伝統的工芸品に認知され、こうした加賀友禅の伝統技術をさらに継承発展させるため、石川県では1978年加賀友禅を県の無形文化財に指定し、この高い技術を有する作家で構成した「加賀友禅技術保存会」を設立し、その技術の保護育成に努めています。