コラム

ハロウィンと伝統文化

2021.10.24

最近では日本でも秋を象徴する行事として定着しつつあるのがハロウィンですね。仮装を楽しむ一大イベントといわれています。

先日、B3リーグの東京八王子ビートレインズのハロウィンデーにて、ちょっとだけ仮装してみた金子です。

目線の先には何が見えているのでしょうか???(笑)

しかし、ハロウィンとは何?とかわいいブースターのお子さんに聞かれても、正しく説明できる自信は金子にはそんなにないかもしれません。ということで、今回はハロウィンと伝統文化について調べてみました。


ハロウィンとはキリスト教における「万聖節」(または「諸聖人の日」)の前夜祭として10月31日に行われています。アメリカ発祥の仮装パーティー!といったイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実は2000年以上も前からヨーロッパに存在していた宗教的なお祭りが起源なのですね。いやー、知らなかったー。。。

 
今回は、その起源や文化をご紹介していきましょう。ハロウィンとは、そもそもどんなお祭りなのでしょうか。

ハロウィンの起源 「サウィン祭」

上記にある通り、ハロウィンの発祥は、2000年以上も前です。ヨーロッパの古代ケルト人が行っていた祭礼「サウィン(Samhain)」が起源だといわれています。サウィンは「夏の終わり」を意味し、秋の収穫を祝うとともに、悪霊を追い払う宗教的な行事として、古代ケルト人の暮らしに根づいていました。

 
ケルトの暦では、10月31日が1年の終わりの日であり、現世と来世を分ける境界が弱まる時だそうです。そして、死者の魂が家族のもとへ戻ってくる日としても信じられていました。

 
死者の魂とともに悪霊も一緒にやってくると考えられ、その悪霊に人間だと気づかれないように、火を焚いたり仮面を着けたりして身を守ったといわれています。この風習が、ハロウィンの代表的な習慣である仮装の起源となっていきました。

「Halloween(ハロウィン)」の語源は?

この土着信仰がやがてキリスト教と結びつき、キリスト教の諸聖人に祈りを捧げる「万聖節」(または「諸聖人の日」)の前夜祭として行われるようになりました。Hallowとは聖人を意味する言葉で、「諸聖人の日=All Saints’ Day」は「All Hallows」とも表記されます。

 
11月1日の「All Hallows」の前夜である10月31日は、「All Hallow’s Even(Eve)」。これが短くなり、訛って、オルハロウズイブン→オハロウイン→ハロウィン→「Halloween」といわれるようになったといわれています。

正確には10月31日~11月2日とされ、この期間中、キリスト教では現世に戻ってくる死者の魂を慰める行事を行っています。

ハロウィンといえば「Trick or Treat」。その意味とは?

「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」の由来は諸説あります。そのうちの一説は、死者へ供える「ソウルケーキ」をもらう「ソウリング」という中世ヨーロッパの儀式に由来するものだそう。

 
現在では、ハロウィンの夜に仮装した子どもたちが近所の家々を訪ね、「Trick or Treat」とその家の大人に声を掛けます。その言葉に「Happy Halloween」と呼応した大人が、チョコレートやキャンディーなどのお菓子を子どもたちにあげるというのがハロウィンの風習ですね。

 
「Trick」は「たくらみ」や「悪ふざけ」などを意味します。「Treat」は「待遇する」「大切に扱う」「もてなす」などの意味を持ちます。子どもたちは、家族のもとへ戻る死者の魂に紛れてやってきた悪霊に扮します。「Trick or Treat」とは、「悪霊にいたずらされたくなければ、お菓子をちょうだい」ということです。

ハロウィンが近づくと、街では不気味な表情が彫られているカボチャをよく見かけますね。「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれる、カボチャを用いて作られたランタンのことです。このランタンは一説には、ケルト人の文化が根強く残るアイルランドのある物語に由来するといわれています。

 
その物語のあらすじは、悪事ばかり働いていたジャックという男が、生前自分の魂を狙った悪魔と「死んでも、地獄に落とさない」という契約を結びます。ジャックは死後、生前の行いから天国へ行くことはできず、悪魔との契約のせいで地獄に行くこともできません。行き場を失ったジャックはくり抜いたカブの中に火を灯し、今も彷徨い続けているということです。

 
物語に登場したのはカブ。なぜ今日カボチャが定着しているのかというと、ハロウィンがアイルランド移民によってアメリカに伝わったとき、アメリカではカブよりカボチャの方が入手しやすかったことが一説にあります。また、カボチャはカブよりもくり抜きやすく、ろうそくを中に入れやすかったという理由もあるようです。

古代ケルト人が住んでいたアイルランドでは、今日でも伝統的なお祝いが続いています。特に古代の祭りの風習を色濃く残した都市ミースの「スピリッツ・オブ・ミース・ハロウィン・フェスティバル」では、お化け屋敷や怪物の舞踏会などが観光客を恐怖の世界へと導きます。

 
アイルランドでは、ハロウィンの夜に「バーンブラック」というドライフルーツが入ったケーキやパンを食べる習慣があります。バーンブラックの中には指輪や硬貨、ボタン、布切れが仕込まれており、それによって運勢を占うといわれています。指輪が当たった人はその年に、または家族のなかで最初に結婚するといわれています。

また、クリーミーなマッシュポテトに茹でたキャベツやケールを加えた「コルキャノン」という料理も、ハロウィンの頃に食べられる郷土料理です。

世界のハロウィンを語る際には、同じ時期にあるメキシコの風習「死者の日(Dia de Muertos)」に触れないわけにはいきません。死者の日には故人の魂がこの世に帰るといわれており、10月31日の前夜祭から、子どもの魂が帰る11月1日、大人の魂が帰る11月2日と、3日間にわたり祭りが開かれています。

 
死者の日の起源は、2500年以上も前にさかのぼります。その頃から、祖先のガイコツを身近に飾る風習があったといいます。その後、スペインからの侵略を受けた際に、アステカ文明の儀式がキリスト教の万聖節と融合して現在の形となりました。

 
死者の日が近づくと、メキシコでは至る所にカラフルなガイコツグッズが溢れかえります。家庭や街には、赤いケイトウやオレンジ色のマリーゴールドの花と、オレンジやレモンなどのフルーツで彩られた「オフレンダ」といわれる祭壇が用意され、死者の魂を迎える準備が始まります。

 
死者の日に楽しまれる食べ物も多く、その代表格は、十字架をかたどった生地に砂糖をまぶした甘い菓子パン「Pan de Muerto(パン・デ・ムエルト=死者のパン)」。ほかにも、ガイコツをかたどったカラフルな砂糖菓子などが店頭や屋台に並びます。

 
メキシコの人々にとって死者の日は、死者とともに明るく楽しいひと時を過ごし、祭りを終えた後には死者が満足して死者の国へと帰れるように祈る日なのです。当日、故人の親族はお墓の前で食事を楽しみ、楽器を演奏したり踊ったりと、それぞれ死者との交流を楽しみます。

日本で言うと、「盆と正月が一緒に来た」というようなことわざがありますが、まさにハロウィンとは「盆と正月が一緒に来ている状態を全力で楽しんでいるお祭り、記念日だったのですね!そりゃ仮装もしたくもなる気持ちが少しだけ理解できました。

それでは日本は?今や日本では、クリスマスと肩を並べる存在となりつつあるハロウィンですが、日本での変遷はどのようなものだったのでしょうか。

 
1970年代に玩具・雑貨店「キデイランド原宿店」が季節のイベントとして、ハロウィングッズの販売に注力し始めました。昭和58(1983)年には、販売促進の目的でハロウィンパレードを開催し、約100人が参加。これが、日本で最初に行われたハロウィンパレードだといわれています。

 
当時の日本ではハロウィンの認知度が低かったため、このパレードは大きな注目を集めました。その後、参加者は年々増加。平成9(1997)年には東京ディズニーランドがハロウィン仮装パレードをアトラクションに取り入れるなどして、認知度が急速に高まりました。全国各地でもイベントが開かれるようになり、今のような一大イベントとして定着していきました。

篠原風鈴本舗さんがこんなかわいいハロウィン風鈴も作っているようです。

まさに日本の文化と世界の文化の融合ですね!こんな記念品やプレゼントをもらってしまったら、今年は風鈴で風情を感じるハロウィンをおうち時間で過ごすのもいいのではないでしょうか?

古代ケルト人の宗教行事が始まりだったハロウィンも、今や世界中に広まり、各地の文化や特性と合わさりながら発展してきました。日本では味わえないようなスケールのイベントも世界には数多く存在しています。新型コロナウイルス感染症拡大のため、今年も例年のように賑やかなハロウィンイベントはできないでしょうが、収束した暁には、世界中のハロウィンイベントを巡ってみたいものですね。

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