コラム

現代でも楽しめる遊び「投扇興」

2023.12.26

こんにちは。
これいい和の吉川です。

いつも伝統工芸品コラムをご覧いただきありがとうございます。
さて今回は、「投扇興(とうせんきょう)」という遊びについて紹介します。

投扇興(とうせんきょう)は、江戸時代の中期(1770年)頃の京都で始まったとされています。
武士や公家階級では様々な遊び(ゲーム)があったようですが、作法やルールなどが様々あり、なかなか気軽にできるものではなかったそうです。
そんな時代背景の中、女性や子供まで誰もが手軽に楽しめる遊びとして生まれたのが

「投扇興(とうせんきょう)」

だったのです!!

桐箱の台の上に立てられた「蝶(ちょう)」という的に向かって扇子を投げて、扇子・蝶・台の3点によってつくられる型(配置)により、得点を競うというゲームです。
つまり、扇子を投げるだけ!! とても簡単ですね。

投げ終わった後、扇子が蝶に当たって、台から落ちたり、ズレたり、扇子が蝶の上に乗ったりなど、様々な型が出現します。
この型ごとに得点が決められており、獲得した総得点を競うというゲームとなっています。
(流派や、競技会のルールによって、多少異なる部分はあるそうです)

そして、この型ごとに名前がついているのですが、
なんと源氏物語の帖(じょう)の名前や、百人一首などの、日本の古典文学にちなんだ名前が付けられているのです。
(こちらも流派によって異なるそうです)

日本の伝統文化を感じますよね。
ではどんな型があるのでしょうか。

蝶にも台にもあたらずセンスが落ちる「手習(てならい):0点」
蝶にかすって蝶が台上で動いたがそのまま立ってる「ゆらり:2点」
強く投げすぎて台ごと倒してしまう「野分(のわけ):マイナス30点」

なんとマイナスがあるのです!!

これだけでも、江戸時代から読み書き算盤が庶民にまで行き届いていることが分かります。
日本の教育レベルは高いですね・・・

ここからは、こんなこと本当におきるの!?シリーズ
もう言葉で説明が不可能なので、画像になります。

桐壺(きりつぼ)50点

落ちた蝶が立ってるよ!!そして扇子は台の上に乗ってるよ!!
(まあ、まだ可能性はある気がしますね)

胡蝶(こちょう)85点

これは、どうやったらこうなるの!?って感じですよね。
台の上に扇子が乗って、その上に蝶が立っている!?
(現実的におこらなそうな気がしますよね)

夢浮橋(ゆめのうきはし)100点

台と蝶のうえに扇子が橋となって乗っている・・・奇跡ですねこれは!!

※得点表画像参照
https://www.ibasen.co.jp/pages/2302_fan_tousenkyo
https://note.com/kingpro/n/ne03999251080

是非テレビの企画で、「夢浮橋が出るまで帰れない」的なのをやってみてもらいたい。
きっと3日くらいは帰れないだろうな・・・と思いました(笑)

小学生のお子様がいる方は、夏休みの自由研究&自由工作の題材にどうぞ!!
そして、いずれは投扇興をエンターテイメントパフォーマンスまで昇華させた超絶プレイヤーが生まれて、AGT(アメリカズ・ゴット・タレント)に出て欲しいですね(笑)

弊社が企画運営に関わっている「万祭(ばんざい)」という文化の日に行うイベントでも、投扇興の体験ブースを出してみたことがありましたが、予想以上の人気でした!

その時は採点が分からなかったので、これいい和でお取引させていただいている京都の扇子屋さんの若女将に手伝ってもらい、20代の若者達にも伝統文化の遊びを楽しんでもらえました。

https://ameblo.jp/c-consul/entry-12323580045.html

若者の伝統文化離れが進んでいる現代ですが、こういった遊びをきっかけに、日本の文化にも扇子にも興味を持つ若者が一人でも増えたら嬉しいですね。

伝統工芸品ファンが一人でも増えることを願っています。

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