コラム
伝統工芸品は、本当に高いのか?
2021.07.15
こんにちは!これいい和の池田です。
さて皆さん、HPをリニューアルして約3か月がたちました。
皆さん、いろんなコラムなど読んでいただいていますか?
中にはこれいい和に興味を持ってもらって催事に足を運んでいただいたり、実際に購入していただいたり、会社の周年記念品の相談をしていただいた方もいらっしゃいます。
いつもありがとうございます。
そういった工芸品に触れる中で皆さんも一度くらい、このように思ったことはありませんか?
「伝統工芸品の値段が高いのは、なんでだろう…?」
たしかに、同じ食器や箸でも100円ショップに行けばいろんな種類の物がワンコインで買えるのに、「伝統工芸品」とつくものは数千円~数万円するものまで存在します。
そこで今回は、「伝統工芸品の値段が高いのか?」理由をお伝えしていきます!
理由その1 職人さんの高い技術力
歴史が長く、常に日本人の生活のそばにあり、作り上げられてきた伝統工芸品は、職人の高い技術力によって支えられております。
そして、その高い技術を身に付けるために、数十年も長い期間の修業期間を経て、成果物である伝統工芸品を作りあげます。(中には40代で始めて、独り立ちした時には60代だった職人さんもいます。) つまり一つの工芸品を作り上げるためには、経験の積み重ねが必要であり、そこも対価の1つになります。
理由その2 機械を使わない手作業技法
工芸品の中には機械を用いず、伝統的な技法を用いて手作業で行うものも多く存在します。そのため、製品を作るのに、数日、数週間から数か月かかることもあります。加えて、修行してきた数十年の技術が背景にあり、その技術力が伝統工芸品を生み出します。
つまりその製品を作る時間の全てに人件費がかかるということです。
だからこそ、伝統工芸品は一点一点手作業で作られることから丈夫であり、丁寧に扱えば一生モノとして使えます。さらに伝統工芸品の魅力の一つでもある経年優化があり、使えば使うほど馴染み、風合いも時が経つにつれて良くなります。だからこそ、オンリーワンの製品として愛されているともいえます。
その中でも特に制作までに時間がかかり特徴的な伝統工芸品をご紹介します。
<津軽塗>
青森県の津軽平野でつくられている津軽塗。この津軽塗の伝統的な塗りの技法には、唐塗・七々子塗(ななこぬり)・紋紗塗(もんしゃぬり)・錦塗の4つがあります。中でも有名なのは、別名「津軽の馬鹿塗り」との異名を持つ唐塗です。
この唐塗の制作期間は約2カ月以上、製作工程は約50回。仕掛けベラというヘラで漆模様を施した後に、色漆を塗っては磨くという作業を何十回も繰り返すことで、あの独特な斑点模様が特徴の色鮮やかな唐塗が生まれます。
これほど長い期間はかけないものの、ほかの地域の漆器も制作期間が1カ月以上かかるところは数多くあります。1つにこれだけの時間をかけているからこその漆器の価格。何重にも漆を塗り重ねることで、硬く堅牢な器となります。
<南部鉄器>
岩手県でつくられている鋳物、南部鉄器も長い制作期間がかかる工芸品の一つです。ステンレスのやかんに比べて価格は高くなりますが、半永久的に使え、熱の加わり方がよく、鉄分の取れる南部鉄器は海外(特に中国)にもファンが多い伝統工程品です。
その製法はデザインを描くことからはじまり、砂で作った鋳型をつくり、その鋳型に銑鉄を流し込んでいく焼型法という技法でつくられています。その製造工程は、型挽、紋様押し、型焼き、中子、鋳込みの準備、フキ(溶解作業)、釜焼き、着色、仕上げという工程を経てつくられており、製造期間はおよそ50日。工程も細分化すると80工程に及ぶそうです。
また、工房によっては一つのデザインに一つの製品しかつくらない、というところがあり、そのこだわりが見て取れます。お手入れさえすれば、100年でも使える丈夫さがある伝統工芸品です。
理由その3 工芸品に使われる原材料
職人さんが伝統工芸品を作るために必要不可欠な材料や道具がいま不足しています。100円ショップに置いてあるようなメイドインジャパン以外の商品が増えたことによって、昔と比べて伝統工芸品の購入率が減ると、そのものの生産量が減少します。それに伴って、原材料の生産量も減少し、道具や材料を作る職人も減っています。
伝統工芸品の原材料の多くは、木、土、漆、金など。どれもそれなりの価格がするものばかりです。これらの価格が高いことも、伝統工芸品が高価になる理由の一つです。
それではどのような、伝統工芸品の原材料が高いのかについてもご説明します。
<国産の木材>
昔の人々は、裏山などから木を切り出してきては、木炭や薪として使っていました。木の工芸品をつくることも盛んで、お椀やわっぱ、寄木細工などいろいろな伝統工芸が生まれてきました。その当時は、森林資源が豊富で安かったため山に行けば、スギやヒノキといった木が取れるのが当たり前でした。しかし近代になり、スギの木が戦後に植林されたものの、東南アジアの安い木材に押されて需要は低下し、林業に携わる人も減少していきました。
そんな中、伝統工芸品の中にはそれぞれの地元の木を使用する物も多くあります。例えば、大館曲げわっぱに使うのは天然の秋田杉のみ。限定された地域から質の高い木材のみを使っているため、値段が高くなっています。
<金を使った伝統工芸>
金の価格相場は、2021年6月11日の時点で1gあたり7,340円。最近は世界情勢的にも値上がりが続いています。そのため、金箔を貼った器などはどうしても値段が高くなってしまいます。
「そんなに高いのなら使わなくてもいいのではないだろうか?」
と思う人もいるかもしれませんが、もともと金は産出量が少なく、古代から希少な金属として多くの上級の武士や貴族に慕われてきました。そのため、金箔を貼って他の藩などに売っても高値で買われていたのです。金箔をふんだんに用いた器などは、古くは武士や貴族が使うものでした。そのため今でも高級品として扱われています。
<漆>
先ほど話した100円ショップなどで売られているお椀の多くは、合成樹脂。いわゆるプラスチックです。それに対し、伝統工芸品の多くが使っているのは天然の漆です。
天然の漆は、木の表面に傷をつけて、にじみ出てきた樹液をろ過してつくります。この「ろ過」したものを「生漆」といい、このままでも「すり漆」として使われることもあります。この「生漆」をさらに精製しつくられるのが透明な琥珀色をした「透き漆」です。このほかにも「色漆」や「黒漆」など、いろいろな精製方法を経た漆があり、そのどれもが手間がかかるものばかりです。
そしてこの漆の木が少ないこと、そしてこの樹液を取り精製するのに時間がかかることなどから、日本製の天然漆の値段はとても高くなってしまいます。最近は海外の漆も増えてきてはいますが、やはり、天然漆はそれなりの価格のものばかり。
とはいっても、幾重にも塗り重ねた天然漆の漆器のしっとりとした輝きは、合成樹脂の漆器とは大きく異なります。また、合成樹脂の漆器より天然漆の漆器のほうが丈夫で、きちんとお手入れすれば何十年も使い続けることができます。
今回は伝統工芸品が高いのはなぜか?
について説明しましたが、どうでしょうか?
この様に話を聞くと、果たして伝統工芸品は本当に高いのでしょうか?
確かに例えば100円の安いお椀も、使えます。
ですが、値段には理由があります。
100円のお椀のほうがすぐに塗料が取れたり、ヒビが入ったりと使えなくなってしまうことが多いです。ですが、漆器はお手入れ次第では数十年も使え、風合いが変わっていく様子を楽しむこともできます。
本当に気に入って手に入れた伝統工芸品は、お手入れに気を使いながら大切に使っていくはずです。
だからこそ、ずっと使い続けることができ、使い続ければ使い続けるほど、手にもなじみ、価格に見合う価値を感じられるはずです。
私たちもよく周年記念品で伝統工芸品を提案させて頂きます。確かに普通のボールペンの記念品より、漆が塗ってあるボールペンの方が高いです。
ですが、もらった方が大事に扱ってもらい、数年、数十年と使ってもらえるのが伝統工芸品です。
そしてそこに自社のロゴを入れれば、よりオリジナル性が出ます。
是非皆さんも使い続けもらえる周年記念品はいかがでしょうか?
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