コラム
伝統×挑戦|多摩織・澤井織物工場様を訪ねて
2026.02.24
こんにちは。
これいい和の政木です。
東京都八王子市周辺で作られている伝統的工芸品「多摩織」。
その多摩織の伝統工芸士である澤井織物工場・澤井さんのもとへ伺いました。
今回は、多摩織の魅力だけでなく、それを生み出す“挑戦し続ける作り手”の姿をお伝えしたいと思います。
もくじ
1 八王子に根づく、多摩織という伝統
2 「織物」の概念を超える挑戦
3 世界的ブランドからの信頼
4 30年前の転換期
5 若い世代への想い
6 伝統は、挑戦し続けること
7 最後に
8 関連リンク
1 八王子に根づく、多摩織という伝統
八王子駅から車で約30分。
緑に囲まれた敷地に、澤井織物工場はあります。
広い敷地内に車を停めると、澤井さんとお弟子さんが出迎えてくださいました。お家に上がらせていただくと、多摩織の生地はもちろん、これまで制作されたさまざまな織物が並びます。
多摩織は、もともと着物用の生地として発展してきました。
八王子は古くから織物の産地として栄え、その技術は今も受け継がれています。
しかし、今回お伺いして感じたのは、「伝統を守る」という言葉だけでは表現しきれない世界でした。
2 「織物」の概念を超える挑戦
澤井さんが取り組まれているのは、多摩織にとどまりません。
例えば──
・銅線を織り込んだ放電板
・糸の段階からナイロン加工を施し、静電気を抑える織物
・電気が通る糸を織り込んだ生地の開発
正直なところ、
「織物って、そんなことまでできるの?」というのが率直な感想でした。
私の中の“織物”という概念が、一気に広がった瞬間でした。
3 世界的ブランドからの信頼
澤井さんは、
・イッセイミヤケ
・サザビー
・ヤエカ
など名だたるアパレルブランドからの依頼を受けてこられました。
さらに、Googleからの依頼で電気の通る糸を織り込んだ衣服を制作されたこともあるそうです。
洋服に触れるとスマートフォンと連動する。
その中心にある「糸」を担ったのが澤井さん。
「澤井さんだったらやってくださる」
そう思われる信頼があるからこそ、織物という枠を超えた依頼が舞い込むのだと感じました。

4 30年前の転換期
澤井さんが印象的なお話をしてくださいました。
「それまでは織物というと、着物用に生地を織ることがほとんどでした。しかし段々と着物文化が縮小し、求められるものも変わってきました」
現在では、
・着物用:約20%
・その他用途:約80%
求められるものが変われば、作り手も変わらなければならない。
伝統は、守るだけでは続かない。
その時代の変化に応じて、形を変え、挑戦し続けることが必要なのだと教えていただきました。
5 若い世代への想い
今、澤井さんが力を入れているのは、若い世代に織物の魅力を伝えること。服飾専門学校と協力し、若い方向けのキャミソールを企画されているそうです。
その肩紐部分には、なんと江戸組紐を使用する予定とのこと。
伝統同士のコラボレーション。
インターンとして専門学校の学生さんもいらしており、若い感性と伝統技術が交わる現場でもありました。「織物」というジャンルを背負いながら、未来を見据えている姿がとても印象的でした。
6 伝統は、挑戦し続けること
伝統工芸品というと、
・昔ながらのもの
・変わらないもの
というイメージを持たれることがあります。
けれど実際は違います。
変わらない“技術”と、変わり続ける“発想”。
その両方があってこそ、伝統は未来へとつながっていく。
澤井さんの多摩織は、まさにその象徴のように感じました。
7 最後に
八王子の地で、織物の可能性を広げ続ける澤井さん。
その挑戦がある限り、多摩織はこれからも進化し続けるのだと思います。
伝統とは、過去の遺産ではなく、挑戦し続ける営み。
そう教えていただいた訪問でした。
これいい和では、こうした作り手の想いとともに、伝統工芸品をご紹介しています。

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