コラム
~右に出るものはいない~ 縁起物の大堀相馬焼
2021.07.07
こんにちは、これいい和の政木です。
左を向いた「走り駒」、
ひび割れたような模様の「青ひび」、
使う人の立場に寄り添った「二重焼」、
特徴的なこの伝統工芸品といえば…
そう…!
福島県の大堀相馬焼です!!
大堀相馬焼とは
300年の歴史を誇る大堀相馬焼。
かつて福島県浪江町大堀を中心に生産され、伝統的工芸品として指定されています。
時は江戸時代、「相馬中村藩」が特産物として奨励したことをきっかけにその歴史がはじまります。
そして、現在も様々な形式に変化しながらも、常に「縁起のよいもの」として親しまれてきました。
今回はそんな大堀相馬焼の魅力を、「松永陶器店」3代目窯主である松永和夫さんのお話も交えてご紹介したいと思います!
松永陶器店さんについて
松永陶器店さんは、福島県の西白河郡、西郷村にあります。
相馬焼の産地は先ほどご紹介したように、以前は浪江町でした。
2011年3月11日の東日本大震災により、浪江町が帰宅困難地域に指定され、多くの窯元が移転を余儀なくされました。
その後、現在は10の窯元が復興し、革新的なアイディアや地域との連携の元、様々な商品を生み出し続けており、松永和夫さんもその一人としてご活躍されています。
以前、これいい和スタッフがお伺いした際に「物づくりは地味」とおっしゃっていた松永さん。
松永さん
物作りは、やはり結構大変な仕事です。
そして、作ったものが商品になるかどうかは、焼いてみないと分からないのです。
実際焼きあがって完成するまで、どのような結果になるかわからないですからね。
仕事にも短期的なものと長期的なものがありますが、陶器を完成させるには時間が必要です。
―そんな中、新しい商品を生み出していく松永さんは、どのような思いで挑戦をしているのでしょうか?
松永さん
新しい物への挑戦は、お客様の声がきっかけになります。
例えば、黄色が好きな人がいて、「黄色い物を作れる?」と言われたとします。
それに対して、「できない」ということが癪なんです。
この言葉を聞いたとき私は、ああ、これが「職人」だなあ、と、とても感じました。
そして、きっとここまで来られるのにたくさんのことがあったかと思います。
松永さんが手掛けてこなかったこともあるかと思います。
ですがそれは、「できない」のではなく「やっていなかった」、という言葉が浮かんできました。
お客様の要望に応えたい。
その想いが、受け継がれてきた伝統技術に、新しい形を生み出すことに繋がっているんですね。
松永さん
クロテラス(大堀相馬焼と宮城県の伝統的工芸品・雄勝硯(おがつすずり)のコラボレーション企画商品)も、「黒がほしい」と言われたことがきっかけなんです。
―東日本大震災をきっかけにし、産地を超えたコラボレーション商品の「クロテラス」という商品も、このようにして生まれた背景があったんですね。
※クロテラスは、2017年グッドデザイン賞を受賞した商品です
松永さん
色々な人との関わりの中で物が作られ、できあがっていくんです。
先人の知恵や技術の積み重ねがあって、「今」があります。
お話をお伺いし、物を付き合う上で何より、人との関わり合いや、日々を楽しむことがとても大切なのだと感じました。
大堀相馬焼の特徴
ここで、大堀相馬焼の特徴と、これいい和での人気商品をご紹介します!
走り駒
左を向いた馬は「右に出るものがいない」とされ縁起物として親しまれてきました。
この意味合いは、つまり「最も優れている」「勝るものはいない」というニュアンスです。
これいい和では、お贈りされる相手に、こういった意味も込めてお渡しすることで、大変喜んで頂いています。
青ひび
器全体に広がった模様のようなひび割れを指します。
一見するとひび割れているようにも見えますが、これは器を焼く際に陶器の表面に細かい亀裂が入るもので、「貫入」という技法のひとつ。
この貫入は、美しい音とともに入っていくんです!
この音は、「うつくしまの音 30景」にも選ばれた音なんだそうです。
二重焼
器をまっぷたつにしてみると・・・びっくり!!
なんと器が二重になっています。
これは「二重焼」という構造で、注いだ飲み物を長く楽しめるように、お湯が冷めにくく、熱いものでもしっかり持つことができる、大堀相馬焼特有の技法になります。
人気商品のご紹介
馬九行久 マグカップ
https://japan-novelty.jp/select/category/products/?item_id=8878
左向きの馬が8頭、そしてマグカップの底に描かれている反転した「馬」の文字。
合わせて9の「馬」が描かれたマグカップです。9の馬は「馬九(うまく)」、前向きに走れば何事も「うまくいく」という願いが込められています。
忙しい時や、ちょっと疲れたなぁという時のティータイムに「うまくいく」と自分を前向きにしてくれるような商品です。
さいごに
以前、これいい和の店頭で商品を販売した際に、40代前後のスーツ姿の男性がいらっしゃいました。
ご用件を伺うと、「マグカップを探されている」とのこと。
そこで、この馬九行久マグカップをご案内させて頂いたところ、
それまで真顔だった男性が「ふふっ」と一言。
他の商品もご案内しましたが、最終的にこちらの商品をご購入してくださいました。
「なんか元気になれそうですね」
その言葉を、今でも覚えています。
実際対応したのはほんの5分~10分くらいだったと思います。
ただ、物を通じて人を笑顔にできること、それをこのやり取りの中で心から感じさせて頂きました。
現在、松永窯をはじめ、大堀相馬焼の窯元のみなさんは、地域一丸となって浪江町、福島を盛り上げています。
今回、大堀相馬焼のご紹介をさせて頂きましたが、思いのこもった贈り物、記念品として是非ご検討いただきたい逸品です。
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