コラム
北海道の焼き物「こぶ志焼」とは?特徴・歴史・窯元見学レポート
2026.03.13
こんにちは。
これいい和です。
今回は、伝統工芸品ライターの上田さんから共有いただいた現地レポートをご紹介します。
この記事では北海道の伝統陶器「こぶ志焼」についてご紹介します。
もくじ
1 北海道の伝統陶器「こぶ志焼」とは
2 「こぶ志焼」という名前の由来
3 こぶ志焼の特徴|釉薬の美しい色合い
4 窯元見学レポート
5 伝統工芸品は記念品にも選ばれる
6 関連リンク
1 北海道の伝統陶器「こぶ志焼」とは
こぶ志焼は、北海道で生まれた陶器です。
1946年、初代 山岡三秋によって創窯されました。
その後、二代目の憬、三代目の千秋と75年間もの間受け継がれ、北海道では現存する最も古い窯となっています。
全国の窯元では珍しく、器を作る土の選定、釉薬(ゆうやく)作りから窯の整備、成形、窯焼きまですべてを一貫して行っています。
2 「こぶ志焼」という名前の由来
窯の名前は、初めて窯を焚いた日に由来します。
その時、桜とともに北国に春の訪れを告げる辛夷(こぶし)の花が咲いていました。
そこから「こぶ志窯」と名付けられました。
現在では、道民から「こぶ志焼」として親しまれています。
こぶ志焼のこだわりは『北海道のやきものを広める』そして『手作りで安く、使い易く』とされています。

3 こぶ志焼の特徴|釉薬の美しい色合い
焼き物というと、落ち着いた色合いや、伝統的な形をイメージする方も多いと思います。
しかし、こぶ志焼は
・使いやすい形
・釉薬の色の美しさ
が特徴です。
どっしりとした重厚感がありながら、比較的明るく現代的な雰囲気もあります。
そのため、若い世代のファンも多い焼き物です。
3-1.代表的な釉薬
こぶ志焼では様々な釉薬が使われています。
特に有名なのが海鼠釉(なまこゆう)。こぶ志焼を代表する釉薬です。海鼠釉(なまこゆう)は歴史が古くこぶ志焼きの代名詞となっています。
そのほかにも
・辰砂釉(しんしゃ)
・緑釉
・白釉
などがあります。
辰砂釉は焼き物では出しにくい赤色を表現する釉薬で、高度な焼成技術が必要になります。


3-2.焼き物の工程|こぶ志焼ができるまで
こぶ志焼の制作工程は、大きく分けて次のようになります。
・土づくり
・釉薬作り
・ろくろ回し(成形)
・乾燥
・素焼き
・釉薬付け
・本焼き(窯詰~窯出し)
・出荷
焼き物は非常に多くの工程を経て完成します。
3-3.釉薬と焼き方の違い
焼き物の色は化学反応によって生まれます。
例えば
・銅 → 酸化すると緑
・鉄 → 酸化すると茶色
になります。
焼き物の色付けは化学反応によるもので、ガス窯で還元焼成をするか、電気窯で酸化焼成をするかで色合いが変わります。例えば、銅は酸化させると緑色に、鉄は酸化させると茶色になるという具合です。試験を繰り返し、素材の調合の比率を微調整しながら使える色を作り上げていきます。
なお、電気窯の導入は北海道内ではこぶ志焼が初めて。土の選定と調合の比率、焼きの方法の組み合わせは無限大です。それを先代からの技術の伝承に加え、たった一人の職人の経験と業によってより磨かれたものとなり、現在も道内をはじめ日本全国に愛用者が広がっています。
*全国の産地ではたいてい分業制であることがほとんど。工程ごとに専門家がいて地域が一体となって産地とされていることが多い中、こぶ志窯では一貫して行っています。
3-4.窯詰めと焼成|焼き物づくりの重要な工程
焼き物は窯に入れる際の配置も重要です。
効率よく熱が回るように、器の形や釉薬の種類を考えながら配置します。中にはあえて炎が抜けるように作品の間隔を大きく空ける焼き物もありますが、こぶ志焼では、一度に多くの作品を焼くことでコストを抑え、手頃な価格を実現しています。
そこには計算しつくされた配置があり、器の形、釉薬の性質などによってその都度変わるため、細かな計算が必要になります。
焼成は、丸1日かかります。その後、ガス窯は約1週間、電気窯は約4日をかけて冷却していきます。
焼きの時間と温度管理が命であり、5分単位で窯を止めるタイミングを調節され、その管理が作品の仕上がりを大きく左右します。焼きの時間によって釉薬の滴り方も変わるために、その温度と時間調節が要となっています。
4 窯元見学レポート
今回の見学では、ろくろ回し・窯詰め・窯出しを見学させていただきました。
4-1.ろくろ回し
ろくろ回しでは、職人の職人技で一瞬で形が整っていきます。
寸法を測る「とんぼ」という道具を使いながら、ほんの1分ほどで正確に形を作り上げていく様子は圧巻でした。さらに解説など会話していただきながら作り上げられていて、プロの業をみさせていただきました。

4-2.窯詰め
窯詰めでは、一切の無駄がなく、器がびっしりと並べられます。
色も飛んでしまい横の器に移ることもあるそう。いかに効率よく釉薬の色が出るか、その影響まで考えながら配置し、パズルのようで楽しそうでした。

4-3.窯出しの瞬間


いよいよの窯出し。とても感動!の一言でした。
焼く前はあの無機質な色をしていた器が、焼き上がると色鮮やかに変化します。焼く前では見分けがつかなかった物も、こんなにもいろいろな色があったのかと、驚きました。
さらに、貫入(陶器表面の細かいヒビ)の音が澄んだ音色で響きます。
ずっと聞いていられるような心地よい音色でした。とても貴重な体験が出来ました。
4-4.見学の感想|職人の想いとものづくり
職人さんの「寡黙で黙々と作業を行う」という印象とは異なり、千秋さんはとても気さくで明るく、焼き物の説明も丁寧にしてくださいました。
中でも感動したのが、製品としてこぶし焼を世の中に普及させていこうという姿勢です。「北海道にも焼き物文化があることを広めたい」という想いが強く伝わってきました。
出荷前の検品基準も厳しく、不良品が市場に出ないよう徹底されています。
その結果、卸先でも返品がほとんどなく、安心してお客様のもとへ届けられるそうです。
一つひとつ丹精を込め、手作りで本物を追求する。
それだけでなく、いかに安く大量に作るかを念頭に置き、一回の窯でいかに多く焼くか。計算しつくされて無駄をなくすことで手作りでの量産を可能にしています。
それが、使い手に取っての良心的な安価な価格を生み出しています。使い手をことを考えての企業努力というものを肌で感じました。
ぜひ、一度手に取ってその質感と手作りのぬくもりを感じてもらいたいと思います。
5 伝統工芸品は記念品にも選ばれる
伝統工芸品には
・歴史
・職人の技術
・地域文化
が込められています。
そのため最近では
・企業の周年記念品
・表彰記念品
・贈答品
として選ばれることも増えています。
ストーリーのある贈り物は、受け取った方の記憶にも残りやすいからです。
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