コラム
間伐材と記念品とSDG’s
2022.06.30
はじめまして、これいい和の山口です。
今日のお題は「間伐材と記念品とSDG’s」です。
SDG‘sと伝統工芸品と言いますと、弊社の岩村が以前から力説しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
今回、私も「東京都 多摩産の間伐材」についてお話を伺う機会がありましたので、それについてお伝えしたいと思います。
(間伐材については、岩村のコラム“【SDGs×伝統工芸品③】SDGsを記念品に“でも詳しく書かれていますので、重複するところもありますがお付き合いください)
間伐材の実情
さて、間伐材というのは、森において、人工的に植林した木を間伐(つまり間引き)したときに出る木材です。
人里に近い里山の森は、天然林(自然の力でできている森。神社の森や、人の入らない奥山など)と人工林(人が木材を生産するために育てている森。いわば木の畑!)の2種類があります。日本の森林面積の約4割が人工林と言われています。
ではなぜ、人工林は間伐が必要かと言いますと、そのままにしておくと、木が多く茂りすぎて、森が暗くなってしまうからです。あえて木を切って、間引きすることで、森の中の地面に太陽の光が届くようになり、そこに新たに別の植物が育つ環境が生まれ、そこに住む動物も元気になり…と、生物多様性が生まれるのです。
日本では戦後、建築用にたくさん植林をしました。それをきちんと間伐して、森を育てて・・・となる予定だったのですが、鉄筋コンクリートが台頭し、さらに1970年代、安い輸入木材が日本国内に流通します。
その結果、国内で人工的に植林された木が間伐されないということになりました。
人が山に入って、木を伐採して、それを外に運びだして加工して、となるとお金がかかるのです。
すると、森の木が密集し、太陽の光が差しこまなくなります。
すると、他の植物も枯れてしまい、エサがないので動物も苦しみ、さらに地面の栄養が少なくなるので生えている木も脆くなる…という悪循環を生みます。
暗くて生物多様性の少ない森になってしまうのです。
たしかにこれに関しては、東京都西部の山間部をハイキングしてみると如実に感じることがあります。「あ、ここは人工的に植林した場所かな(あたり一面、細い杉の木が密集している。
そして、暗くて、シーンとしている)」と。
実際、多摩地域の森のうち、人工林が約6割を占めるそうです。(全国の4割よりも高い)人工的に植林したので、間伐する必要があるわけです。
ところが、人が山に入って、木を伐採して、それを外に運びだして加工して、と手間もお金もかかる。それなのに安い輸入木材が流通し、高く売れない・・・。
林業従事者の高齢化もあり、間伐されないままになっている、というわけです。
間伐されないと弊害がある
ちなみに、関東を中心に間伐しない結果として、成熟した杉の木があふれ、花粉症の原因にもなっています。都内の半数の人が花粉症と言われます。
20歳から60歳までの花粉症であると回答した社会人1,324名を対象にした「社会人の花粉症に関する調査(パナソニック株式会社調べ)」では、花粉症による経済損失額は1日あたりで「約2,215億円」に該当すると言われていますから、これがなくなるだけでも良い影響ですよね。
それに、なんせ、「木」は地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を「木の葉・幹・根」という形に留めておくことができます。燃やしたら二酸化炭素として排出されてしまいますよね。
その上、若い木ほど、成長のために二酸化炭素をたくさん吸収し、老木ほど二酸化炭素を吸収しないそうなのです。その意味でも、間伐をし、新たに植林をするという意味がありますね。
『その吸収量は樹種や林齢により異なりますが、 -中略- 例えば人口林50年生スギの1本当たりでは約190kgに達すると試算されています。これを50年で割れば1年間平均で約3.8kgの炭素(約14kgの二酸化炭素)を吸収したことになります。』
(林野庁HPより)
まして、輸入木材の中には違法伐採のものもあると聞きます。
東南アジア地域を中心に、「〇〇国産」と表示されるだけで、それが違法伐採なのか合法なのか追跡しにくいというのです。
「木」を使っているから自然派?と思いきや、その原材料が海外の天然林から違法に伐採されたものだったとしたら…?と、考えるだけで悲しいですよね。
どこで、どのようにして生み出された、どんな原材料を使っているのか。
中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によってできた綿製品をアメリカが不買するという動きもありましたので、気にしている方も多いと思います。
また現在、「自然エネルギー」のために太陽光発電を山間部に建設する動きも各地であります。
しかし、元々森林や田んぼであったところに太陽光発電パネルを設置することは、そこにあった植物が失われる、すなわち二酸化炭素を固定化しておく機能が失われるということです。
さらに、パネルを設置することによって、その下の地面は日陰になり、あるいはコンクリートで覆われてしまうため、土壌がいたみ、もとに戻るのは難しくなります。
そして、保水力の観点からも、森林や田んぼは自然のダムとして機能してくれるので、それが失われるとなると、川の氾濫や鉄砲水の原因にもなります。
未来の為にも間伐材を使用
このように、一度間伐をしなくなる、また、森を別の用地に転用してしまうと、元に戻すのは簡単なことではありません。
そのためにも、森林の間伐材の用途をたくさん見出し、日常に取り入れることは、SDG‘sに直結する、私たちにできる大きな貢献の1つなのです。
森林の生物多様性を豊かにすること、地域経済、林業の人材育成、地球温暖化を防ぐこと、等々につながるのです。
東京都内の企業で多摩の間伐材を利用することがSDG’sと社会に貢献できるということです。
間伐材をつかった記念品や贈り物を弊社でもいろいろと取り揃えております。
記念品で良いものを選びたい、また、贈り物で何を選ぼうか迷っている際や、お子さんにSDG’sを伝えていきたいときは、ぜひご利用ください。
子供たちも木が大好きです。公園や道端で拾い集めてくるのはもちろんのこと、大型木製遊具の公園も大好きです。
また昔から日本では、つみき、こけし、けん玉、独楽・・・と、木のおもちゃも身近にありました。
その木のぬくもりあふれ、社会貢献にも直結する東京都の間伐材をぜひ、取り入れてみてくださいね。
多摩の間伐材を使用した商品例
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