コラム

脱プラスチック時代にこそ贈り物に工芸品を

2023.06.27

こんにちは、これいい和の山口です。

今回のテーマは、脱プラスチック時代と、工芸品。
「脱プラスチック?レジ袋が有料になったやつでしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
その通り、なのですが、世界的には「脱プラスチック」、もっともっと議論が進んでいるようです。
そのため、今回は脱プラの世界各地・各企業の取り組みと、その意義・目的、そしてそこに光る工芸品の良さとを、お伝えしていきます。

目次

1.そもそもなぜ脱プラなのか?
2.世界の各地域・各企業の取り組み
3.日本の取り組み
4.工芸品の強み

1.そもそもなぜ脱プラなのか?

石油が原料のプラスチックは、軽くて丈夫、成形しやすく、食品の持ち運びにも清潔で便利なため、世界中で様々な製品に使われています。
しかし一方で、プラスチック製品の生産・使用には、多くの環境問題があるため、脱プラスチックの取り組みが進んでいます。

1-1.製造の際の問題(温室効果ガスの排出)

まず、プラスチックを製造する際に、石油などの化石燃料が使用されるため、CO2排出量が増えます。地球温暖化を加速させる原因となるということです。
大量生産・大量消費をするほど、温室効果ガスの排出に寄与するのです。
温室効果ガスの排出により、気候変動にはじまる環境への影響が多大なため、脱プラが急がれています。

1-2.廃棄の際の問題(温室効果ガスの排出)

プラスチックはリサイクルが難しいため、多くのプラスチック製品が1度使用されたら廃棄されます。
焼却処理や埋め立て処分されるということです。
プラスチックは化石燃料から製造されるので、焼却処分の過程でもCO2などの温室効果ガスが発生します。

また、焼却処分されず環境中に出されたプラスチックも、紫外線や空気・水によって少しずつ分解が進みます。
この際も同じく、メタンなどの温室効果ガスの排出があります。

1-3.廃棄の際の問題(海洋プラスチックゴミ)

陸上でポイ捨てされたプラスチックごみは、川を通じて海に流れ込みます。
海洋プラスチックゴミは、海鳥や海ガメ、魚類などの海の生物が誤食してしまう問題があります。
これらの生物が誤食すると、胃や腸などの消化器官に詰まり、食欲を減退させたり、死に至らしめたりする可能性があるのです。
さらに、海洋プラスチックゴミは、少しずつ少しずつ紫外線や波によって細かく分解され、食物連鎖によって海の生物の体内に蓄積されます。
これにより、海洋生物が被害を受けるだけでなく、魚を食べる人間にとっても健康リスク、漁業の収穫量の減少、観光業などの経済的悪影響もあるのです。

以上が、脱プラスチックと言われる理由です。

2.世界の各地域・各企業の取り組み

1で挙げたような理由のため、代替素材の開発やプラスチック製品のリデュース、リユース、リサイクルなど、脱プラスチックに世界各地で取り組みがあります。
国レベルでは、プラスチック廃棄物削減を目的とした法律が導入されている国が増えています。

例えばフランスはプラスチック廃棄物問題に対して強い意識を持ち、積極的に取り組んでいるようです。
例えば、2016年からは使い捨てプラスチックのレジ袋の販売が禁止され、2020年にはカップ、グラスなどのさらに多くの使い捨てプラスチック製品が禁止されました。
野菜や果物を包む袋もプラスチックも禁止され、2023年からファストフード店での使い捨てプラスチック容器の使用が禁止されました。
食品の鮮度の保持や、ファストフード店での食洗器の導入など、問題がありつつも脱プラへの移行が進められているようです。

環境先進国として有名なドイツは、プラスチックのリサイクルを強化するために、1991年に「包装廃棄物法」を制定しました。
この法律によって、製造業者が自社製品の廃棄物の処理費用を負担することが義務付けられ、廃棄物の削減とリサイクルを促進する仕組みが作られました。

さらに、2019年にはドイツはプラスチック廃棄物を減らすために新しい法律「プラスチック廃棄物削減法」を制定しました。
この法律によって、2021年からは一部の使い捨てプラスチック製品が禁止され、2022年からは全ての使い捨てプラスチック製品が禁止される予定です。

そして、フランスやドイツの消費者もプラスチック廃棄物問題に関心を持ち、積極的な取り組みを行っているそうです。
例えば、エコバッグやプラスチック容器のリサイクルに力を入れる消費者が増えています。
このほか、イギリス、スペインはじめEU各国、アメリカの各地の都市やオーストラリア、インド、韓国などでも使い捨てプラスチック製品の販売の禁止や規制が発表されています。
このような背景の中で、多くの企業や団体がプラスチックの使用削減に向けた取り組みを行っています。
例えば、プラスチックストローの廃止や代替品の導入、プラスチック製品のリサイクル・再利用・再生プラスチックの使用に力を入れる企業が増えています。また、バイオマスプラスチックや再生プラスチックなど、環境に配慮した代替素材の開発も進んでいます。
コカ・コーラやペプシコも、飲料用ペットボトルを世界で最も排出しますが、積極的にプラスチックの使用量削減を掲げています。キットカットで有名なネスレ日本も、大袋をプラスチックから紙袋にしました。
脱プラに乗り遅れることにより、脱プラビジネスの主導権を奪われること、会社のイメージダウンに直結するのを危惧した動きでもあります。

3.日本の取り組み

世界の動きを見てきましたが、日本でも、脱プラに向けた取り組みがいくつか進んでいます。

まず、プラスチックごみの削減に向けて、2018年に「プラスチック資源循環法」が制定されました。この法律では、プラスチック製品の使用量削減、リサイクルの促進、バイオマスプラスチックの活用などが規定されています。
そして、2020年には、小売店でのレジ袋の無料配布が禁止され、有料化されました。これにより、レジ袋の使用量が大幅に削減され、プラスチックごみの削減につながっています。
また、2019年には、G20大阪サミットにおいて、プラスチックごみの削減や海洋プラスチックゴミ問題への対策が取り上げられ、日本も参加国の一員として取り組んでいます。

しかし、まだまだ課題も残っており、世界的なイベントの機会に脱プラをアピールすべきだという考えもあるようです。
また日本は清潔への意識が世界の中でも高いですが、プラスチック製品の使用量も多いです。プラスチックごみの削減に向けた取り組みもまだまだ不十分とされています。
今後も、法律や規制の強化、企業や自治体の取り組みの促進、国民の意識の向上など、様々な方策が必要とされています。

4.工芸品の強み

さて、ではなぜここで工芸品なのか?

昔から作られてきた伝統工芸品は、自然界に存在する土や木材を原料としています。
例えば陶器は粘土、漆器は木材など、自然界に存在する土や草木を原料とし、自然から生み出されています。
そして、材料の採取方法や生産量に配慮しながら、自然と共存しながら作られてきました。

次に、伝統工芸品は、手作りで作られることが多く、材料や製造過程などが透明性が高く、環境にも配慮された製品が作られることが多いです。
また、伝統的な製造方法を守り、高品質な製品を作り出すことができるため、製品の寿命も長く、廃棄物が発生するリスクも低くなっています。

このように、伝統工芸品は、自然環境を守り、持続可能な産業として注目されています。素材を扱う技術や知識を継承することで、自然素材を活用した製品を継続的に生み出すことができます。
そのため、伝統工芸品は、文化や技術の継承、地域社会の経済的発展、自然環境の保護といった多様な要素を持ち合わせた、持続可能な産業としての価値が高いとされています。
また、伝統工芸品には、自然素材に由来する風合いや質感があるため、高い美意識を持つ人々にも支持されています。

以上のように、伝統工芸品には、地域経済に貢献する役割や、環境に配慮された製品が作られること、一定の需要があることなどの良さがあります。
伝統工芸品は、持続可能な産業として注目されているのです。

だからこそ、国内・海外ともに、記念品・贈り物に伝統工芸品を贈ることは大変価値があります。
「SDGsやサステナビリティに関心の高い企業だ」というメッセージが伝わると考えられます。
贈る際は、ぜひ、その工芸品を選んだ理由や工芸品の背景もお伝えしてみてください。
工芸品には縁起柄も多いので、「未来永劫の発展を祈る」など、持続可能な社会へのメッセージもこめやすいかもしれません。

ただ一方で、国内では清潔感・おもてなしの気持ちでプラスチック製の袋で包むことも多いのですが、海外の意識の高い方からすると、「これは不要なプラスチックバッグ…」と思われることもあるかもしれません。そのあたりは見極める必要があると思います。

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ヒノキの間伐材と記念品 https://japan-novelty.jp/column/2560/
プロバスケットボールBリーグでも工芸品とSDGs https://japan-novelty.jp/column/2131/

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