コラム
和紙とは?洋紙との違い、日本三大和紙、原料までわかりやすく解説
2026.04.07
こんにちは。
これいい和の佐々木です。
今回は、和紙とはどのようなものか、洋紙との違い、日本三大和紙、そして和紙を支える原料についてご紹介します。
和紙は、長い歴史を持ちながら、今もなお暮らしの中で使われ続けている日本の伝統素材です。
独特のやわらかな風合いや、手仕事ならではのあたたかみを感じられることも、和紙ならではの魅力です。
この記事を通して、和紙の奥深さを少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。
1もくじ
1 和紙と洋紙の違い
2 和紙と洋紙、それぞれの特徴
3 和紙はユネスコ無形文化遺産にも登録されている
4 日本三大和紙とは
5 和紙を支える主な原料
6 和紙が今も見直されている理由
7 和紙は、日本の暮らしを支えてきた素材
8 さいごに
9 関連リンク
1 和紙と洋紙の違い
まず、「紙」とは何かを見てみると、日本工業規格(JIS)では、植物繊維その他の繊維を絡み合わせて作られたものと定義されています。
簡単に言えば、
・植物の繊維を水の中で分散させる
・薄く平らに広げる
・脱水して乾燥させる
ことで紙は作られます。
この紙には、大きく分けて「和紙」と「洋紙」があります。
1-1.洋紙とは
洋紙は、植物や木材から取り出したパルプを均一に広げて、乾燥・加工した紙です。
・大量生産しやすい
・価格を抑えやすい
・印刷に適している
という特徴があり、オフィス用紙やパンフレット、カタログなど、日常で目にする紙の多くは洋紙です。
1-2.和紙とは
和紙は、主に
・楮(こうぞ)
・雁皮(がんぴ)
・三椏(みつまた)
といった植物の靭皮繊維を原料として作られます。
洋紙に比べて繊維が長く太いため、
・強度が高い
・独特の風合いがある
・長期保存に向いている
といった特徴があります。
もともとは手漉きで作られてきましたが、現在では機械漉きの和紙も存在します。
2 和紙と洋紙、それぞれの特徴
2-1.和紙の特徴
・繊維が長く太いため、強度が高い
・長期保存に適している
※和紙は1,000年、用紙は100年と言われています。
・独特の風合いやあたたかみがある
・量産しにくく、比較的高価
・印刷適性は洋紙ほど高くない場合がある
2-2.洋紙の特徴
・大量生産しやすい
・比較的安価
・印刷適性が高い
・和紙に比べると強度や保存性では劣ることがある
・経年で黄変や劣化が起こりやすい
3 和紙はユネスコ無形文化遺産にも登録されている
和紙の価値は、日本国内だけでなく世界でも認められています。
2014年には、
・細川紙(埼玉県小川町、東秩父村)
・本美濃紙(岐阜県美濃市)
・石州半紙(島根県浜田市)
の手漉き和紙技術が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
評価されたのは、紙そのものの美しさだけでなく、地域ぐるみで技術を守り継いできた文化でもあります。ユネスコ政府間委員会は「産地に暮らすすべての人々が和紙作りの伝統に誇りを持っている」と評価したそうです。
4 日本三大和紙とは
日本各地で和紙は作られていますが、その中でも特によく知られているのが「日本三大和紙」です。
・美濃和紙
・土佐和紙
・越前和紙
いずれも経済産業大臣指定の伝統的工芸品です。
4-1.美濃和紙
岐阜県で作られる美濃和紙は、
・薄くても丈夫
・繊維の絡みが美しい
・保存用紙や障子紙に適している
といった特徴があります。
歴史も非常に古く、現存する古い戸籍断簡からも、その技術の高さがうかがえます。
美濃和紙は、正倉院に残る大宝2年(702年)の御野国(みののくに)戸籍断簡(こせきだんかん)が現存最古のもので、その製紙は揖斐川流域で始まったとされています。御野の紙の品質は良いと言われ、当時からすでに美濃にはすぐれた製紙技術が存在していたと考えられています。
4-2.土佐和紙
高知県の土佐和紙は、種類の多さでも知られています。
その数は300種類とも言われます。
中でも有名なのが「土佐典具帖紙」で、
・土佐典具帖紙は世界で一番薄い手漉き和紙(0.03mm)
・強度がある
・文化財修復にも使われる
という特徴を持っています。
システィーナ礼拝堂のミケランジェロが描いた大壁画の修復に使われるなど、美術品や歴史的建造物の修復にも欠かせない和紙です。
平安時代に書かれた「延喜式(えんぎしき)」に献上品として名が出ています。
4-3.越前和紙

福井県の越前和紙は、約1500年の歴史を持つとも言われる、非常に古い和紙です。
・薄くて丈夫
・水に強い
・多様な製法がある
といった特徴があり、かつては藩札にも使われていました。
越前和紙は1661年から藩札(現在でいう紙幣)に使われるようになりました。これが日本で最古の紙幣とされており、その後1951年までの間ずっと越前和紙が使われてきたのです。
その他、国宝・文化財の保存や復元にも越前和紙が使われています。
また、世界最高レベルの技術水準を誇る、現在の日本銀行券も越前和紙の紙漉き技術と透かし技術が取り入れられています。電子化される前の証券や株券にも使われ、卒業証書などの証書などは今でも「正式の用紙」として、越前和紙が使用されています。
5 和紙を支える主な原料
和紙の魅力は、原料によっても大きく変わります。
5-1.楮(こうぞ)
くわ科の落葉低木で、成木は3mほどで、栽培が容易で毎年収穫が可能です。強い日照を好むので、暖かい南面の山腹傾斜地が栽培に適しています。梅雨前後の雨が生育に大きく影響するので、降雨量が多く、靭皮が傷まないようになるべく風当たりの少ないところで栽培します。
収穫は、落葉から翌年発芽する前まで(12月~1月頃)に行ないます。本格的に収穫できるのは3年目頃からで、株の寿命は20~30年といわれていますが、100年経た古株でも収穫できるものもあるようです。繊維は太くて長く強靭なので、幅広い用途に和紙原料として最も多く使用されます。
5-2.三椏(みつまた)
じんちょうげ科の落葉低木で、成木は2mほどで、苗を植えてから3年毎に収穫できます。関東以西の温暖地が適しており、中国・四国地方の山間部で多く栽培されています。半陰性植物で強烈な日光を嫌うため、北面の山腹が適しています。繊維は柔軟で細くて光沢があり、印刷適性に優れているので、局納みつまたとして大蔵省印刷局に納入され、世界一の品質を誇る日本銀行券(紙幣)の原料として役立っています。
5-3.雁皮(がんぴ)
じんちょうげ科の落葉低木で、成木は2mほどなります。繊維は細くて短く、光沢がある優れた原料ですが、成育が遅く栽培がむずかしいので、主にやせた山地に生育する野生のものを採取して使用します。以前は謄写版原紙用紙の原料として大量に使用されていましたが、複写機が普及して以来、急激にその使用量が減少しました。現在は金箔銀箔を打ちのばす箔打ち紙、襖の下貼り用の間似合紙などに使用されています。
5-4.トロロアオイと「ねり」について
トロロアオイの根は「ねり」として使われます。「ねり」は美しい紙を漉くために、原料の繊維を水中に均一に分散させておくのに必要なものです。楮、雁皮、三椏などの長い繊維は、そのままでは一様な分散が困難です。さらに植物繊維の比重は、水の1.5倍ほどあるので、水の中に入れておくとすぐに沈んでしまいます。そこで紙を漉くときには「ねり」を使います。「ねり」の役目は水中で繊維の分散を助けるためで、接着力はありません。
ネリには水引きを調節するはたらきもあります。紙を漉くときに「簀」から水が漏る速度が、水だけだと早すぎるので、繊維をよく絡みあわせる時間がありません。ネリを入れることによって、原料液が簀の上に長く留まるので、そのあいだに簀桁をよく揺すって繊維同士を絡み合わせることができます。
6 和紙が今も見直されている理由
和紙は、単に昔ながらの素材として残っているだけではありません。
今では、
・メモ帳
・栞
・封筒
・インテリア小物
・マスクケース
など、現代の暮らしに合った形でも取り入れられています。
その背景には、
・手ざわりの良さ
・やさしい質感
・長く使いたくなる魅力
があるように思います。
7 和紙は、日本の暮らしを支えてきた素材
和紙は、障子や書、証書、包み紙など、さまざまな形で日本の暮らしを支えてきました。
それは単なる素材ではなく、
・生活に寄り添う道具
・文化を伝える媒体
・技術の結晶
でもあります。
知れば知るほど、和紙の価値は見た目以上に奥深いものだと感じます。
8 さいごに
今回は、和紙について
・洋紙との違い
・日本三大和紙
・原料や製法の特徴
を中心にご紹介しました。
和紙は、長い歴史を持ちながらも、今の暮らしの中にも自然に取り入れられる素材です。
その風合いや背景を知ることで、普段何気なく見ている紙への見方も少し変わるかもしれません。
少しでも和紙に興味を持っていただけたら嬉しいです。