コラム

豊かな地「佐賀県」 ~和心茶道より~

2021.06.25

弊社には日本の伝統を学ぶ機会の一つで「和心茶道」というものがあります。

「茶道」と聞くと、表千家や裏千家といった流派や、作法が細かくて大変そう…というイメージを持たれる方がほとんどではないでしょうか。

ですが、この「和心茶道」は一言でいうと「おもてなし」の茶道。お茶を点てる相手のためにワンプレートを作ります。皆さんがイメージする茶道とは違って、ほぼルールもありません。どうしたら喜んでくれるのかと相手のために何か月も前から考えて準備することは日本人精神性ならではですし、もっと身近に日本の伝統を感じるにはとても良い機会でした。

最終回では学んできたことを踏まえつつ、作ったワンプレートの発表会があるのですが、私は亡くなった祖母のために作りました。祖母との思い出や、祖母の故郷である「佐賀県」のものを取り入れたのですが、佐賀県に昔訪れた記憶を辿りつつ、改めて佐賀県の魅力を感じたので書きたいと思います。

「佐賀県」と聞いて頭に浮かぶのは、「吉野ヶ里遺跡」や、芸人はなわさんの歌のフレーズ「SAGA(エス・エー・ジー・エー)」でしょうか? それに福岡や長崎に埋もれ行ったことがない…という方もいらっしゃることでしょう。でも実は魅力がたくさんある県なので、これを機会に知っていただければと思います。

とにかく自然がすごい

佐賀県内には大楠をはじめとする巨木がいくつもあって、木自体はもちろん、その木を囲む周辺の街並みにも脈々と受け継がれてきた歴史を感じることができます。代表的な武雄の大楠は樹齢が推定3000年以上で武雄神社の御神木でありパワースポットとしても有名です。他に、塚崎や川古にも大楠があり、どれも数千年を生き抜いてきた楠たちの姿は圧巻です。

他にも唐津市の七ツ釜。九州北部の日本海の海の色は想像以上に青く、とても美しいです。遊覧船も運行しているのでおすすめです。

温泉ははずせない

温泉も佐賀を代表する魅力のひとつです。県内各地にたくさんの温泉施設があり、中でも全国的にも有名なのが日本三大美肌の湯と称される「嬉野温泉」と「武雄温泉」で、歴史は古く約1,200年前の書物に記述が残っているとか。どちらも無色透明で少しとろみのあるツルツルしたお湯が特徴です。他に佐賀市北部の古湯・熊の川温泉は低めの温度でゆっくり浸かりたい人に人気です。

季節ごとの催しも楽しみ

博多祇園山笠やどんたくなど、独特な文化を持つお祭りが多いのも九州の特色。もちろん、佐賀県にもあり、それが「唐津くんち」です。

毎年11月の3日間に開催される唐津神社の秋季大祭です。見た目にもインパクトがある曳山(ひきやま)は各町内で代々引き継がれてきたものを使い、祭り期間外でも展示場で見ることも可能です。「くんち」とは「供日」とも書き、収穫感謝の意味があります。国の重要無形民俗文化財に指定されており、祭りの期間中は50万人を超える人で賑わいます。

おいしい特産品

*佐賀牛

柔らかい赤身の中にきめ細やかな脂肪の入った見事な霜降りの佐賀牛。黒毛和牛の甘くてこくのある旨い肉は、穏やかな気候と美味しい水、澄みきった空気のたまものです。おいしい牛肉をつくるには、子牛のうちから特別な愛情と、熟練した飼育技術を必要とします。ストレスがたまらないように、えさの配合からそのやり方などきめ細かな気配りにより、のんびり、ゆったり肥育しなければなりません。佐賀の恵まれた大自然の中、温かい愛情で育てられた佐賀牛は美味しすぎて食べるたびに感動します。

*小城羊羹

私の祖母は小城羊羹が大好きだったので取り寄せていました。ほどよい甘さと昔懐かしの風味は現在でも受け継がれて、羊羹の全国ブランドとして人気。明治時代、日清戦争の際に戦地に送られる食糧のなかで、他の食物がつぎつぎと腐っていきましたが、小城羊羹だけが風味を失うことがなかったというエピソードがあります。上品な生菓子の美しさや風合いをもつ逸品です。

*丸ぼうろ

佐賀を代表するお菓子。もともとは南蛮菓子で今から300年前の寛文年間(1661年~1672年)に、長崎在住のオランダ人から、佐賀藩御用菓子司の横尾市郎右衛門が小麦粉に琉球糖を合わせて練り、天火で焼く製法を習ったことがはじまり。柔らかくてざっくりとした口溶けの良い美味しさが特徴です。祖父が好きで良く食べていたなぁ。

*けいらん

こちらも昔から愛されているお菓子。うるち米のうす引き粉を蒸して薄く搗いた皮で餡を巻いたお菓子で、あっさりとした上品な味わいが、広く長く愛されています。はじまりは、朝鮮出兵の際、戦勝祈願を諏訪神社で行った秀吉に、地元の人が献上したことからと言われています。名前の「けいらん」は戦争に勝つまで帰らない(けえらん)という意味があるのだとか。

佐賀県の伝統工芸品

*伊万里焼・有田焼

佐賀県では一番有名な伝統工芸品かもしれません。別コラムで特徴や歴史など有田焼について詳しく書かれているものがあるので、よろしければそちらをご一読ください。

(伝統工芸品「有田焼」についてhttps://japan-novelty.jp/column/230/

*唐津焼

唐津焼は、佐賀県・長崎県周辺で作られている陶磁器です。16世紀の頃から作られている伝統工芸品で、茶陶器を始め様々な種類が作られています。
唐津焼の特徴は、素朴だけれど粗野ではない、「土」を感じさせる味わいです。安土桃山時代には「1楽、2萩、3唐津」や「東はセトモノ、西はカラツモノ」と言われるほど、茶道のなかでは代表的な器として重宝されていました。1の楽焼、2の萩焼の歴史は400年ほどありますが、実は唐津焼に比べ新しい作品です。
わび・さびを良しとする茶道では、シンプルで深みを感じさせる作風が好んで作られ、唐津焼は茶陶器以外も多くあります。絵唐津と言う作品は花や鳥、草木などの意匠を描き、李氏朝鮮から伝わったという朝鮮唐津も有名で、黒の鉄釉と白の藁灰釉を交わらせた表現が魅力で、さらに「作り手八分、使い手二分」という言葉があり、使ってもらって完成という用の美の考えをあらわしています。

*名尾手漉和紙

名尾の和紙が誕生したのは江戸時代中期。農民の納富由助が、耕地が少なく生活が困難であることを憂い、筑後溝口村で僧の教えを受け、農家の副業として村民に伝えたのが始まりです。質が緻密で色つやがあり、耐久性に優れた和紙です。原料の梶の繊維が長く、繊維同士が絡み合うことで強靱さが生まれます。提灯紙や障子紙をはじめ、民芸品やインテリア用品などに使われています。

*佐賀錦

佐賀錦は、金や銀、プラチナ、漆箔を貼った和紙を細く裁断して経(たて)糸に、染色した撚りの強い絹糸を緯(よこ)糸にして織り上げる華麗な錦織物です。江戸時代後期に鹿島藩鍋島家で誕生し、1910年の日英博覧会に出品された際、大隈重信により佐賀錦と名付けられたことから、この名が定着しました。現在は佐賀錦振興協議会などが伝統を守り続けています。竹ベラを使い、一目ずつ追って丹念に織り上げた織物を和装小物やハンドバッグ、名刺入れ、雛人形などの製品にして現在は販売されています。

ここまで代表的なものを挙げてきましたが、土地の魅力も特産品も伝統工芸品も紹介し切れないほど、まだまだたくさんあります。

佐賀県に関連する記念品やグッズなどをお探しの際は、これいい和までお問い合わせください。

皆さんもご自身やご家族などの出身地に改めて想いを馳せてみると、魅力を再発見するかもしれません。そんな時間を設けてみるのもオススメですよ。

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