コラム

伝統工芸品「有田焼」について

2021.04.23

今回も伝統工芸品にまつわる情報を書き綴りたいと思います。

気になったところを、かいつまんで読んでみてください。

そして、休憩時間や食事の時間に、小話として日本の事を発信してくれると嬉しいです。

本日のお題は「有田焼」です。

日本には数多くの焼き物があります。当然○○焼のファンという方々も多くいらっしゃいます。

そして各地方で○○焼ツアーというプランがあるのですが、その中でも有田焼のツアーは、いかに熱烈なファンがいるかを物語るツアータイトルでした!

「有田焼ファンの夢を叶えるツアー」

有田観光協会  https://www.arita.jp/pdf/yumetour2.pdf

「夢を叶える」なんてフレーズがついてることから、いかに熱烈なファンがいらっしゃるのかが推し量れるとういうものです。

ツアーでは、有田焼にまつわる歴史的な名所をめぐることが出来るのですが、なんと4コースも企画されてます! 江戸時代から世界に羽ばたき400年以上の歴史をもつ有田焼ならではの凄さを感じますね。

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有田焼の概要

ではまず、有田焼の概要に関してまとめてみました。

有田焼の中心地は佐賀県西松浦郡有田町・伊万里市・武雄市・嬉野市となっています。

気付かれましたか?

あのミュージシャン「はなわ」さんの大ヒット曲「SAGAさが~♪」の佐賀県なんです。

ご存知の方はなんとなく記憶にあると思いますが、あの県民愛溢れる地元いじりソングですね。

この機会に改めて歌詞を読みなおしてみたのですが・・・

有田焼でてこないじゃん!?と一人突っ込んでしまいました。

さて本題に戻りますが、有田町は佐賀県の西部に位置し、美しい景観を誇る田園地帯や黒髪連山など変化に富む豊かな自然に恵まれた温暖な気候の地域です。また、「棚田」という特徴的な景観を持つ稲作地であり、県下有数の畜産地でもあります。有田焼の「器」と農業の「食」の魅力を堪能できる町となっています。

社員旅行で有田町に行った同僚達は、「のどかで、伝統が残り、食べ物も美味しくて最高でした!」と口々に言っていました。 皆様も一度訪れてみると、海外のご友人などにも自慢できる一つの思い出になると思いますのでお勧めです。

この有田町を中心に焼かれる磁器が有田焼です。

(陶磁器とまとめられる事が多いのですが、陶器と磁器は同じ焼き物でも異なります。陶器は土が原料、磁器は陶石が原料です。)

1616年(17世紀前半)に朝鮮人陶工・李参平(り さんぺい)が有田・泉山(いずみやま)で磁器の原料となる陶石を発見し、日本で初めて磁器が焼かれました。それ以降、多くの陶工たちが一斉に磁器の製作に取り組み、一大産地を形成していきました。

有田焼には「古伊万里様式」「柿右衛門様式」「鍋島藩窯様式」と呼ばれる代表的な3つの様式があります。18世紀ごろにヨーロッパなどに大量に輸出され、特に「古伊万里様式」や「柿右衛門様式」の磁器は、その美しさで海外の人々を魅了しました。その積み出しが有田町の北にある伊万里港からされていたことから、「伊万里(いまり)焼」とも呼ばれます。

江戸時代、海外との交易の中心は九州でしたので、有田焼も早くから世界に流通し、その芸術性・匠の技は、ヨーロッパ諸国の職人にも影響を与えてきたと言われています。

まさに日本を代表する焼き物の一つと言えるのが有田焼なのです。

続いては、有田焼を話すのに知っておきたいキーワード「三大様式と有名窯元6選」についてです。
知識ネタなので、様式名・窯元名だけでもチェックしてみてください。

三大様式

「有田焼三大様式」とは、最も知られている3種類の絵付け様式のことです。

3種類ともそれぞれの特徴が際立っており、同じ有田焼といっても、作風が違うのが良く分かりますね。

古伊万里様式(こいまりようしき)

濃い染付と、金襴手(きんらんで)と呼ばれる赤や金の絵の具を贅沢に使った模様からなる様式です。

この名称は、これらの磁器が有田に隣接する伊万里港から積み出されたことに由来しており、「古伊万里」と呼ばれる骨董品の多くは有田の地で作り出されたものを指しています。

柿右衛門様式(かきえもんようしき)

濁手(にごしで)と呼ばれる乳白色のきれいな背景に余白部分を十分に残しながら、色鮮やかな赤・青・緑・黄で「草花文様」や「動物文様」を控えめに配置することで、独特の調和美を格調高く見せている様式です。1640年代に初代柿右衛門が生み出し、白磁の美しさと調和性を究極まで高めて確立しました。

鍋島藩窯様式(なべしまはんがまほうしき)

佐賀県一帯を統治していた鍋島藩の御用か禁裡、もしくは幕府への献上用として作られた磁器の様式です。その技法はいくつかあり、染付と赤・黄・緑を基調とした「色鍋島」、藍色を駆使して精細に描く「藍鍋島」、自然の藍翠色を活かした「鍋島青磁」などがあります。

有名窯元6選

続いては「有名窯元6選」に関してです。

まさに文字のとおり、有田焼の歴史ある有名窯元をピックアップしたものです。

その中でも3右衛門と呼ばれる窯元が有田焼の様式を作り上げて来ました。これらの窯元を知ること自体が、伝統的な有田焼を知ることでもあると言えます。

柿右衛門窯(かきえもんがま)

柿右衛門の名前は誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。それほど有名で、有田焼を代表する窯元です。17世紀に初代井田柿右衛門が「柿右衛門様式」の絵付けを確立してから、第15代の現在まで約400年続いてきた歴史があります。この絵付けは海外でも高く評価され、オランダの東インド会社から輸出されて、ヨーロッパ各国の王侯貴族たちの宮殿内で装飾として飾られました。

今右衛門窯(いまえもんがま)

江戸時代、鍋島藩の御用窯の一つで、献上品・贈答品を目的とした作品を手掛けており、予算度外視しで、市場に全く出すことの無い、最高級品を作りました。それが「鍋島様式」、「鍋島焼」と呼ばれる有田焼となっていきます。そして、今右衛門家は代々一子相伝にも関わらず、その歴史は350年、十四代続いています。

源右衛門窯(げんえもんがま)

先の柿右衛門・今右衛門にこの源右衛門で「有田の三右衛門」と呼ばれています。三右衛門の中では最も新しい窯の為、その歴史は260年あまりです。(といっても、アメリカ合衆国より長い歴史があります。)

現在の源右衛門窯は、今のライフスタイルにあうデザインの皿も数多く作っていて、鮮やかな色使いで人気です。昭和50年代にはティファニーと洋食器シリーズを共同制作するなど、海外ブランドとの提携や現代的な商品開発にいち早く取り組み始めた窯の一つです。

三右衛門の中で、唯一工房が見られる工房で、「古伊万里資料館」も公開しています。オランダ東インド会社のロゴ入りの輸出古伊万里や、名品を観に是非立ち寄りたいスポットです。

香蘭社(こうらんしゃ)

その歴史は古く、初代深川弥左衛門が1689年に有田で陶磁器製造を始めたのですが、大量生産時代を迎え個人経営では限界があると感じ始めます。そして第8代深川弥左衛門により前身となる合本組織香蘭社が1875年に設立されました。この会社組織化に成功した窯元の代表と言えます。ちなみに、Googleマップで、何と本店に併設されている「陶磁器・古陶磁美術館」の館内を見ることも可能です。

深川製磁(ふかがわせいじ)

磁器の絵付けでよく使われる呉須(ごす)の青色とは全く違う「深川ブルー」の有田焼など、モダンなテイストで人気なのが深川製磁の作品です。1894年(明治27年)に、香蘭社初代社長・深川栄左衛門の次男、深川忠次が有田焼の輸出用に作った会社です。現代でも、そのモダンなデザインは評価され、世界各国の最新の家具、インダストリアルデザイン、インテリアデザイン、テキスタイルデザインが集まる世界最大規模の見本市「ミラノサローネ」にも出品しています。

弥左ヱ門窯(やざえもんがま)

初代松本弥左ヱ門により1804年肥前有田皿山に開かれた窯元です。創業より約200年、七代にわたって続いています。昭和前半には輸出において「ゴールドイマリ」というブランドで高い評価を得ます。

そしてさらに明治伊万里のモダンさを、現代のライフスタイルにマッチさせた有田焼を生み出し続けていいます。当代、七代目松本弥左ヱ門は、「ARITA PORCELAIN LAB」を立ち上げました。

https://aritaporcelainlab.com/

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さいごに

この様に、17世紀から脈々と続く伝統様式から、明治以降のモダンを追求し続ける様式まで、それぞれの窯元毎に魅力があることも、有田焼の奥深さとなっています。 ちなみに柿右衛門様式の有田焼は、17世紀後半にはヨーロッパでも絶大に人気を勝ち取り、ヨーロッパ磁器界でトップに君臨する名窯「マイセン」からも「日本の有田焼のような優れた磁器を作りたい!」という声がでるほどだったと言われています。 有田焼は、あの世界のマイセンの職人の創作熱意に大きな影響を与えてきたのです。

現代の日本人が興味を失いつつある伝統工芸ですが、こうやって知っていくと、物凄く日本人として誇らしい気持ちになるのは私だけでしょうか?

有田焼は400年の歴史におごることなく、今も新たな魅力づくりが続けられています。

近年では、アリタセラ」という、世界最大の有田焼ショッピングモールもオープンしたそうです。

九州・佐賀県方面に足を運ぶ機会がありましたら、是非一度、有田焼の魅力に触れてみてください。

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