コラム

知って欲しい、節句の話

2021.06.09

こんにちは、これいい和の工藤です。

日本には節句がありますよね。
記念品を検討する機会の一つでもあります。
皆さんは、節句と聞くと、どのようなイメージを持ちますでしょうか。

端午の節句、桃の節句などが代表的ですが、節句をしっかりと説明できるかと聞かれると、「自信を持って説明できる!」という方は多くはないかもしれませんね。

今回は、節句についてお伝えさせていただきます。

【節句とは】

古くは中国から伝わったとされておりますが、日本の風習や文化と合わさり、次第に日本独自の文化として発展していきました。日本では宮中行事から始まり、庶民の文化へと浸透していったとされています。日本では今でも皇室のなさりようを真似したお祝い事がされていますが、このように国民も共にお祝いすることができるのは、日本ならではの習慣ですね。

節句は節日(せちび)とも言われており、その名の通り季節の変わり目、節目となる日のことです。中でも、昔から特に大切にされてきた節句は「五節句(ごせっく)」と呼ばれています。五節句には、人日の節句、上巳の節句、端午の節句、七夕の節句、重陽の節句があります。みなさん、これらはそれぞれ、何月何日か、わかりますでしょうか?

【節供との違いは?】

また、床飾りやお食事で季節感を感じることも節句の楽しみの一つです。「せっく」と漢字を変換すると、「節供」という漢字とも出会います。「節供」という書き方は古くからの書き方とされており、節の日の供御(くご)、つまり、神様への食べ物のお供えのことを指します。その時期における初物や見合った供物をお供えし、のちに人々がその供物を共にいただきます。節供の準備をして節供料理(お節)をいただくことで、日常の雑事から離れて、自然の恵みや、日々当たり前に過ごせることへの感謝を感じる機会をいただいています。

この節供のお食事のなかで、現代で一番なじみがあるのは、みなさんご存じ「御節(おせち)」ではないでしょうか。この「おせち」という言葉、元々は、節供料理全般を指していたそうです。例えば、人日の節供には七草粥、上巳の節供には菱餅や蛤(はまぐり)、端午の節供には柏餅や粽(ちまき)など、、、これらは現代ではおせちとは呼びませんが、今でも馴染み深く残っていますね。

節供料理を準備していただくことで、このコラムをお読みくださった皆様にとり、こうして健康でいられること、食べ物をいただけること、感謝の気持ちを感じる機会としていただけたらと思っています。

【五節供について】

それでは、五節供について少しお伝えできればと思います。

<人日(じんじつ)の節供>1月7日

七草の節供としてもなじみのある、人日の節供。1月1日の元旦は別格におめでたいとされているため、この日が五節句に入っています。七草粥を食して邪気を払ったり、お正月のお食事で疲れた胃腸を癒す日、といわれています。また、新年は正月の1日から6日には動物を占い、7日には人を占うという風習があったことからこの名がついたと言われています。

~七草粥の頂き方~

人日の節供の朝にいただきます。前日の夜に準備をしておきましょう。

古くはそれぞれのご家庭で、畑や野から七草を摘み、粥を作っていました。現在ではスーパーで購入される方が多いと思います。自然の恵みに感謝して、冷蔵庫や棚にしまう前に一度神棚にお供えしましょう。神棚のないご家庭でも、七草が育って、育ててくださる方がいて、こうしていただけることに感謝の気持ちをもつ時間をもてるといいですね。

それでは、ここでいう七草とはなんでしょうか?

それは、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろのことをいいます。聞きなれない名前もありますが、実は、いつも口にしているものもありますね。

これらをゆでて一口大に刻み、お粥に入れていただきます。

レシピはこちらhttps://www.sirogohan.com/recipe/nanakusa/(参考:白ごはん.com

<上巳(じょうし)の節供>3月3日

桃の節供ともいい、3月上旬の巳の日に行い、女の子をけがれから守ってあげる、という意味合いがあります。雛人形を飾り、菱餅や桃の花も添えて、ちらし寿司や蛤のお吸い物、白酒などをいただきます。お雛様は元々、人の災いを代わりに受けてくれる存在であり、それを川に流す「流し雛」が主でした。そのため、川に似た「巳(へび)の日」に行うようになった、という説もあります。

また、「桃」というのは、生命力のあふれる言葉ということを、ご存知でしょうか?

古事記のいざなぎ・いざなみ神話にも桃で鬼を倒すエピソードがあるように、桃は生命力あふれ、邪気を払うパワーがあります。「柿太郎」や「栗太郎」ではなく「桃太郎」であることも、このような理由があるんですね。

<端午(たんご)の節供>5月5日

菖蒲の節供ともいい、勝負、尚武を連想させるため、現代では男の子の節供とされています。武術の鍛錬を祈る意味合いがありましたが、現在は出世を祈る様に変化していきました。鎧兜や人形、菖蒲を飾り、鯉のぼりをあげ、柏餅や粽(ちまき)をいただきます。

柏の葉は腐らず、次の葉が生えないと落ちないことから、「世継ぎが絶えない」という意味合いがあり、縁起のいいものです。地域によって粽を食べる文化もあり、粽は殺菌効果、邪気払いの意味合いがあります。

実はこの端午の節供、元々は女の子の節供だったという説もあります・・・。

<七夕(しちせき)の節供>7月7日

棚機姫神(たなばたつひめ)という機織りが上手な神様をお祈りする日です。元々はお裁縫や縫い物の上達を祈る行事でしたが、次第に習い事全般へと変化していきました。今でも短冊には、「サッカーが上手になりますように」というようなことが書かれているのをみると、子どもたちが古来から同じ様に、このような祈りごとをしていたのだと思いを馳せることができますね。

短冊は五行の色で、青・赤・緑・金・紫が使われていることにも理由があるんですね。

<重陽(ちょうよう)の節供>9月9日

長寿や末永く続くことを祈る意味を持つ「菊」を飾る日です。菊酒としていただいたり、菊の花に綿を被せて夜露に湿らせ、その綿で顔を洗うと若返るという言われもあります。全国各地で菊花展、菊人形展も開催されます。

菊には赤・白・黄の色が飾られる事が多いですが、どれが最上位か、おわかりになりますでしょうか・・・?実は、白い菊が最上位となっています。黄、赤と続いています。菊に被せる綿は、バランスをとって白い菊には赤い綿を、黄の菊には白い綿を、赤の菊には黄の綿を被せると言われています。

【五節句をお祝いする各地のお祭り】

岩槻流しびな(埼玉県:岩槻城址公園 菖蒲池周辺)

 いきいき山田 鯉のぼりまつり(千葉県:橘ふれあい公園)

 仙台七夕まつり(宮城県:仙台駅周辺)

 笠間の菊まつり(茨城県:笠間稲荷神社)

【その他にも・・・】

五節供の他にも、「雑節」と呼ばれる日があります。節分や彼岸、半夏生、土用などが雑節に当たります。これらはまた別の機会に、触れてみたいと思います。

今回は節句についてのおはなしでした。

これらの節目があるということは、これまでの日々を振り返ったり、これからのことに思いを馳せたりする機会をいただくことができる、ということだと思っております。

節句のような年中行事は、これを行うことで我々に日本人としての心を教えてくれます。

日々の生活を送れることに感謝する心、様々な方とのご縁への感謝、これまでこのような習慣を伝えてくださった先祖に感謝する気持ち・・・このような気持ちを大切にする機会として、ぜひ節句のお祝いをして頂きたいと思います。

節句で用いるお道具からも、日本人が大切にしてきた心を学ばせていただく事ができます。ぜひ、手で触れて心地よく、心の安らぐ出会いをしていただけますよう、これいい和としてお力になれればと思っています。