コラム
有田焼とは?400年続く歴史と代表的な窯元をわかりやすく解説
2026.04.07
こんにちは。
これいい和です。
今回は、「有田焼とはどのような焼き物なのか」「その歴史や代表的な様式、有名窯元」についてわかりやすくご紹介します。
日本には数多くの焼き物がありますが、その中でも有田焼は、長い歴史と高い芸術性をあわせ持つ代表的な焼き物のひとつです。
名前は聞いたことがあっても、
・どこで作られているのか
・どんな特徴があるのか
・ほかの焼き物と何が違うのか
までは、意外と知らない方も多いかもしれません。
この記事を通して、有田焼の魅力に少しでも触れていただけたら嬉しいです。
もくじ
1 有田焼の概要
2 有田焼のはじまり
3 なぜ有田焼は「伊万里焼」とも呼ばれるのか
4 有田焼が世界に広がった理由
5 有田焼の三大様式とは
6 有田焼を知るうえで名前を知っておきたい窯元
7 有田焼の魅力は「様式の幅広さ」にある
8 今も進化を続ける有田焼
9 さいごに
10 関連リンク
1 有田焼の概要
有田焼は、佐賀県有田町を中心に作られている磁器です。
主な産地は、
・有田町
・伊万里市
・武雄市
・嬉野市
など、佐賀県西部の地域に広がっています。
佐賀県の西側に位置し、美しい景観を誇る田園地帯や黒髪連山など変化に富む豊かな自然に恵まれた温暖な気候の地域です。また、「棚田」という特徴的な景観を持つ稲作地であり、県下有数の畜産地でもあります。有田焼の「器」と農業の「食」の魅力を堪能できる町となっています。
有田焼の大きな特徴は、「陶器」ではなく「磁器」であることです。
・陶器は土を原料とする
・磁器は陶石を原料とする
という違いがあり、有田焼は磁器ならではの硬さやなめらかさ、白磁の美しさを持っています。
2 有田焼のはじまり
有田焼の歴史は、17世紀初頭に始まるとされています。
1616年(17世紀前半)に朝鮮人陶工・李参平(り さんぺい)が有田・泉山(いずみやま)で磁器の原料となる陶石を発見し、日本で初めて磁器が焼かれました。それ以降、多くの陶工たちが一斉に磁器の製作に取り組み、一大産地を形成していきました。
3 なぜ有田焼は「伊万里焼」とも呼ばれるのか
有田焼は、しばしば「伊万里焼」と呼ばれることがあります。これは、有田で焼かれた磁器が、近くの伊万里港から積み出されていたためです。
特に江戸時代には、国内だけでなく海外にも輸出され、
・古伊万里様式
・柿右衛門様式
・鍋島藩窯様式
などの有田焼が、ヨーロッパの人々を魅了しました。
つまり「伊万里焼」という名前は、積み出し港に由来する呼び名であり、実際には有田の地で作られたものも多く含まれています。
江戸時代、海外との交易の中心は九州でしたので、有田焼も早くから世界に流通し、その芸術性・匠の技は、ヨーロッパ諸国の職人にも影響を与えてきたと言われています。
まさに日本を代表する焼き物の一つと言えるのが有田焼なのです。
4 有田焼が世界に広がった理由
江戸時代、九州は海外交易の重要な拠点でした。
その地理的な背景もあり、有田焼は早い段階から海外へ渡っていきます。
特にヨーロッパでは、その美しさや精緻さが高く評価され、有田焼は日本を代表する輸出工芸品のひとつとなりました。その影響は大きく、ヨーロッパの磁器文化にも刺激を与えたとされています。
5 有田焼の三大様式とは
有田焼を語るうえで欠かせないのが、「三大様式」と呼ばれる代表的な絵付け様式です。同じ有田焼でも、それぞれに異なる魅力があります。
5-1.古伊万里様式

古伊万里様式は、濃い染付に加えて、金襴手(きんらんで)と呼ばれる赤や金を華やかに使った装飾性の高い様式です。
・色彩が豊か
・華やかで豪華
・存在感がある
といった特徴があり、有田焼の中でも特にわかりやすい美しさを持っています。
5-2.柿右衛門様式

1640年代に初代柿右衛門が生み出し、白磁の美しさと調和性を究極まで高めて確立しました。
柿右衛門様式は、濁手(にごしで)と呼ばれる乳白色の美しい余白を活かしながら、色鮮やかな赤・青・緑・黄で「草花文様」や「動物文様」を控えめに配置する様式です。
・余白の美しさ
・色彩の上品さ
・静かな調和
が魅力で、華やかさの中にも品格を感じる、独特の調和美を格調高く見せている様式です。
5-3.鍋島藩窯様式

鍋島藩窯様式は、佐賀県一帯を統治していた鍋島藩の御用か禁裡、もしくは幕府への献上用として作られた磁器の様式です。
・染付と赤・黄・緑を基調とした色鍋島
・藍色を活かして精細に描く藍鍋島
・自然の藍翠色を活かした鍋島青磁
などの技法があり、非常に高い技術と洗練された意匠が特徴です。
6 有田焼を知るうえで名前を知っておきたい窯元
有田焼には、長い歴史を持つ名窯が数多くあります。
ここでは、代表的な窯元をいくつかご紹介します。
6-1.柿右衛門窯
柿右衛門の名前は誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。それほど有名で、有田焼を代表する窯元です。17世紀に初代井田柿右衛門が「柿右衛門様式」の絵付けを確立してから、第15代の現在まで約400年続いてきた歴史があります。この絵付けは海外でも高く評価され、オランダの東インド会社から輸出されて、ヨーロッパ各国の王侯貴族たちの宮殿内で装飾として飾られました。
6-2.今右衛門窯
江戸時代、鍋島藩の御用窯の一つで、献上品・贈答品を目的とした作品を手掛けており、予算度外視しで、市場に全く出すことの無い、最高級品を作りました。それが「鍋島様式」、「鍋島焼」と呼ばれる有田焼となっていきます。そして、今右衛門家は代々一子相伝にも関わらず、その歴史は350年、十四代続いています。
6-3.源右衛門窯
先の柿右衛門・今右衛門にこの源右衛門で「有田の三右衛門」と呼ばれています。三右衛門の中では最も新しい窯の為、その歴史は260年あまりです。(といっても、アメリカ合衆国より長い歴史があります)
現在の源右衛門窯は、今のライフスタイルにあうデザインの皿も数多く作っていて、鮮やかな色使いで人気です。昭和50年代にはティファニーと洋食器シリーズを共同制作するなど、海外ブランドとの提携や現代的な商品開発にいち早く取り組み始めた窯の一つです。
三右衛門の中で、唯一工房が見られる工房で、「古伊万里資料館」も公開しています。オランダ東インド会社のロゴ入りの輸出古伊万里や、名品を観に是非立ち寄りたいスポットです。
6-4.香蘭社
その歴史は古く、初代深川弥左衛門が1689年に有田で陶磁器製造を始めたのですが、大量生産時代を迎え個人経営では限界があると感じ始めます。そして第8代深川弥左衛門により前身となる合本組織香蘭社が1875年に設立されました。この会社組織化に成功した窯元の代表と言えます。ちなみに、Googleマップで、本店に併設されている「陶磁器・古陶磁美術館」の館内を見ることも可能です。
6-5.深川製磁
磁器の絵付けでよく使われる呉須(ごす)の青色とは全く違う「深川ブルー」の有田焼など、モダンなテイストで人気なのが深川製磁の作品です。1894年(明治27年)に、香蘭社初代社長・深川栄左衛門の次男、深川忠次が有田焼の輸出用に作った会社です。現代でも、そのモダンなデザインは評価され、世界各国の最新の家具、インダストリアルデザイン、インテリアデザイン、テキスタイルデザインが集まる世界最大規模の見本市「ミラノサローネ」にも出品しています。
6-6.弥左ヱ門窯
初代松本弥左ヱ門により1804年肥前有田皿山に開かれた窯元です。創業より約200年、七代にわたって続いています。昭和前半には輸出において「ゴールドイマリ」というブランドで高い評価を得ます。
そしてさらに明治伊万里のモダンさを、現代のライフスタイルにマッチさせた有田焼を生み出し続けていいます。当代、七代目松本弥左ヱ門は、「ARITA PORCELAIN LAB」を立ち上げました。
7 有田焼の魅力は「様式の幅広さ」にある
有田焼の大きな魅力のひとつは、同じ産地の焼き物でありながら、表現の幅がとても広いことです。
・華やかな古伊万里
・余白の美を感じる柿右衛門
・格式を感じる鍋島様式
・現代的で洗練された新しい表現
こうした多様さがあるからこそ、有田焼は長く多くの人に愛されてきたのだと思います。
8 今も進化を続ける有田焼
有田焼は、400年以上の歴史を持ちながらも、過去の様式を守るだけではありません。
今もなお、
・現代の暮らしに合う器づくり
・新しいデザインへの挑戦
・海外との接点づくり
などを通して、新たな魅力を生み出しています。
歴史があるからこそ変わらないのではなく、歴史があるからこそ変化し続けている。
そこもまた、有田焼の面白さです。
9 さいごに
有田焼は、日本を代表する焼き物のひとつであり、長い歴史と高い技術、そして多彩な表現を持つ工芸品です。
知れば知るほど、
・歴史の深さ
・様式の違い
・窯元ごとの個性
に魅力を感じられるのではないでしょうか。
焼き物に詳しい方はもちろん、これから興味を持つ方にとっても、有田焼はとても入口の広い工芸品だと思います。
現代の日本人が興味を失いつつある伝統工芸ですが、こうやって知っていくと、物凄く日本人として誇らしい気持ちになるのは私だけでしょうか?
機会があれば、ぜひ実際に器を手に取りながら、その魅力に触れてみてください。
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